いつもと同じ夕方の時間に犬の散歩へ出たら、折り返す頃にはもう薄暗かった。秋が深まるこの時期は、そういう日が増えてきます。
厄介なのは、歩いている飼い主のほうは「まだ見える」と感じていることです。街灯や店の明かりがあるぶん、体感はそれほど暗くありません。ところが、走ってくる車から見たときの見え方は、これとはまったく別ものです。
なお、この記事は一般的な情報です。事故やけがの対応は、ペットの種類・体格・年齢・持病などによって異なります。異変がある場合は、自己判断せず、かかりつけの動物病院へ相談してください。
国立天文台の日の出入り表によると、東京の日の入り時刻は2026年9月16日が17時48分、10月31日が16時47分、11月30日が16時28分です。9月中旬から11月末までで、1時間以上早まる計算になります。
一日あたりでは1分ほどの変化なので、体感では気づけません。それでも「先週と同じ時間に出たのに、帰り道は真っ暗だった」という状況は自然と起こります。いつもの時間のまま、暗さだけが進んでいくからです。
警察庁は、日の入り前後の「薄暮時間帯」に死亡事故が増えることを注意喚起しています。令和3年から令和7年の5年間では17時台から19時台に多く、事故の類型は自動車と歩行者の衝突が最も多くなっています。歩行者の死亡事故は横断中が約8割で、そのうち横断歩道以外での発生が約7割です。
見え方の目安もあります。JAFによると、夜間にヘッドライトを下向きにした状態で歩行者を視認できる距離は約26メートルから約38メートル、反射材を着けていれば少なくとも約57メートルです。

犬の目には「タペタム」と呼ばれる反射層があり、網膜を通った光をもう一度網膜へ返します。そのため薄暗い場所での見え方は人より優れていると考えられていますが、細かいものを見分ける力は人ほど高くありません。獣医眼科の専門機関の解説では、犬の視力は人の視力検査に換算すると20/75程度と推定されています。
飼い主の側も、暗い路面では落ち葉の下の段差や側溝のふたが見えにくくなります。「犬は暗くても平気だから」とリードを長めに持つのは、この時期は避けたほうが安全です。
道具を足すより先に、時間とルートを見直すほうが効果があります。
出発時間:その日の日の入り時刻を目安に、暗くなる前に折り返す
ルート:街灯と歩道のある道を選び、横断は必ず横断歩道で行う
装備:飼い主は明るい色の服に反射材を足し、犬にも反射材やライトを着ける
歩き方:リードは短めに持ち、車道側を飼い主が歩く
特に黒やこげ茶の被毛の犬は、薄暗い路上ではドライバーからほとんど認識されません。犬の側にも光る要素を足しておくと、早い段階で気づいてもらえます。

上の写真は、先ほどの運転席から見た道と同じ場所です。反射材とライトを着けているだけで、同じ暗さでも人と犬がいることがはっきり分かります。
光る要素には、首輪自体が光るタイプと、いまの首輪やハーネスに後から取り付けるライトがあります。どちらも視認性を補助する用品で、着けていれば事故に遭わないというものではありません。
車や自転車と接触したときは、その場で歩けていても動物病院へ連絡してください。外から見て傷がなくても、胸やお腹の中で出血していることがあります。
リードが手から離れたときは、暗い中では数メートル先でも見失います。追いかけると犬も走るので、しゃがんで名前を呼ぶなど、犬が自分から近づきたくなる行動に切り替えるほうが戻ってきやすいとされています。犬に光るものを着けていれば、離れても位置が分かります。
日の入りは秋のあいだに1時間以上早まります。同じ時間の散歩でも、条件は毎週変わります
薄暮時間帯は自動車と歩行者の事故が多く、反射材の有無で視認できる距離が変わります
時間・ルート・装備・歩き方の4点を見直すだけでも、今日からできる対策になります
暗い時間の散歩は、少しの準備で安心感が変わります。これからの季節も、愛犬との時間を気持ちよく続けていきましょう。