朝晩が冷え込むようになると、「起き上がるのに時間がかかるようになった」「前は軽く飛び乗っていた場所に行かなくなった」と感じることはありませんか。
こうした変化は「年をとったから仕方がない」と受け止められがちです。けれど、動きがゆっくりになる背景に、関節の痛みが隠れていることは少なくありません。
犬も猫も、痛みを言葉では伝えられません。特に猫は痛みを隠すのが得意です。気づくきっかけは、痛がるしぐさそのものよりも、毎日の何気ない行動の変化であることがほとんどです。
この記事は一般的な情報です。症状や対応は、ペットの種類・体格・年齢・持病などによって異なります。気になる変化がある場合は、自己判断せず、かかりつけの動物病院へ相談してください。
寝起きの数歩がぎこちない、歩幅が狭くなった
階段や段差、車の乗り降りをためらう
散歩の後半で遅れる、途中で座り込む
特定の脚をかばう、体を触られるのを嫌がる
寝ている時間が増え、呼んでも来ないことがある
猫は犬と違い、足を引きずるようなはっきりした跛行(はこう)が出にくいのが特徴です。次のような変化のほうが先に現れます。
高い場所へ飛び乗らない、または一段低い場所を選ぶ
着地が重く、ドスンと音がする
毛づくろいが減り、背中や腰の毛がもつれる
トイレの縁をまたぎにくく、外で排泄してしまう
抱かれるのを嫌がる、触ると怒る
海外の調査では、12歳を超えた猫の約9割にレントゲン上の関節の変化が見つかった一方で、関節の問題として認識されていたのはごく一部にとどまったと報告されています。6歳を超えた猫でも、6割ほどでいずれかの関節に変化が見られたという報告があります。
飼い主が気づいた変化として多かったのは、足を引きずる様子ではなく、「飛び乗らなくなった」「飛ぶ距離が短くなった」という点でした。
犬では、英国の大規模な調査で、1年間に関節症と診断された犬は約2.5%、診断時の年齢の中央値は10.5歳でした。犬種の平均体重を上回る犬は、下回る犬に比べて診断される割合が2.3倍高かったとされています。
関節の痛みは珍しい病気ではなく、気づかれていないことが多い変化だと考えるほうが、実態に近いといえます。
寒い時期は散歩が短くなり、猫も窓辺で丸くなる時間が増えます。関節を支えているのは、その周りの筋肉です。筋肉が落ちると、同じ動作でも関節にかかる負担は大きくなります。
関節に変化がある子は、長く休んだあとの動き出しがぎこちなくなりがちです。寒さで体が縮こまると、その時間はさらに目立ちます。寒さ自体が関節の変化を進めるというより、じっとしている時間が増えることの影響が大きいと考えられます。
床に近い場所ほど冷えます。硬い床の上で同じ姿勢を続けると、体の出っ張った部分に圧がかかり、休息が浅くなります。よく眠れない日が続くと、日中の動きもさらに鈍くなります。
体が沈み込みすぎない、適度な厚みのあるマットを選ぶ
床の冷気が伝わらないよう、下に一枚はさんで高さをつくる
出入りのしやすさを優先し、縁が高すぎるベッドは避ける
暖かい場所に、休める場所を複数用意する
フローリングは踏ん張りがきかず、脚が横に開きやすくなります。よく通る動線、寝床の周り、食器の前、ソファの下などに滑り止めマットを敷くと、動作が安定します。足裏の毛が伸びていると滑りやすくなるため、こまめに整えましょう。
ソファやベッドにはステップやスロープを置く
猫のトイレは縁の低いもの、または一辺を切り下げたものに替える
食器は少し高い位置に置き、首や前脚の負担を減らす
お気に入りの場所へ、飛び乗らずに行ける経路をつくる
ヒーターやホットカーペットの上で長時間動かずにいると、低温やけどを起こすことがあります。暖かい場所と、そうでない場所の両方を用意し、自分で移動して調節できるようにしてください。うまく動けない子ほど、自分から離れられないことがあります。
増えた体重は、そのまま関節への負荷になります。冬は活動量が落ちる一方で、食欲が増えやすい時期です。触って肋骨が分かるか、上から見てくびれがあるかを、月に一度は確認しましょう。
ここでは、寝床の冷えと床の滑りを減らすための用品を紹介します。いずれも日常の環境づくりを補助するもので、関節の病気の予防・診断・治療の効果を保証するものではありません。取り入れたあとも動きの変化が続く場合は、動物病院へ相談してください。
次のような変化があれば、早めに動物病院へ相談してください。
数日たっても、動き出しのぎこちなさが続く
足を着かない、明らかにかばっている
階段や段差を避けるようになった
食欲や毛づくろいが落ちた、性格が変わったように見える
このとき、人用の痛み止めは絶対に与えないでください。市販の解熱鎮痛薬は、犬や猫では重い中毒を起こすことがあります。サプリメントについても、使う前に獣医師へ相談するほうが安全です。
痛みへの対応は、体重管理や環境の工夫と、獣医師が処方する薬を組み合わせて行うのが基本です。早く気づくほど、選べる手段は多くなります。
動きの変化は「年のせい」ではなく、関節の痛みのサインかもしれません
寒い時期は活動量が落ち、こわばりが目立ちやすくなります
寝床・床の滑り・段差・体重の4つを見直すだけでも、毎日の動きは変わります
冬は、愛犬・愛猫が一日の多くを過ごす場所を見直す良いきっかけになります。小さな段差をひとつ減らすことが、来年の元気につながります。